TOP 活動報告 SRID Journal SRID Journal リンク


SRIDとは?

-SRID設立の趣旨
  1.目的
  2.組織
  3.活動
-会長ご挨拶
-SRIDの歴史
  歴代会長
-幹事会
  代表幹事ご挨拶
  幹事会メンバーと役割分担
-会則
-入会ご案内





 設立の趣旨

 戦後わが国は急速な経済発展を遂げ、国際社会における日本の役割は極めて大きくなってきています。今後とも、日本が国際社会の中で調和を保ちつつ発展していくために、「発展途上国の開発問題」はますます大切な問題であり、今世紀に残された最大の課題の一つと考えられています。
 こうした状況の中で、最近、日本人の中からも国際開発問題に興味を持ち、国内外の開発関連機関等で活躍する人々が多くなってきました。しかしながら、国際開発問題に関し、国際的スケールで活躍するためには、専門家としての個人的能力に加えて、その活動を各方面から支えていくための「人的ネットワーク」の形成が不可欠と思われます。特に国際機関その他海外で活躍する日本人の開発研究者は、ともすれば情報面で偏りがちであり、日本国内の専門家との連絡も不十分になりがちです。また、帰国後は、新しい情報と蓄積された経験を分け合いながら、また相互に刺激しあって開発問題への興味を維持してゆく機会が広く求められています。
 このような状況にかんがみ、国際開発問題に現に携っており、あるいはその研究に情熱を傾けている者が、国内外において人的連携を保ち意見交換と啓発の場をつくり、国際開発問題の見識を深め、たがいの開発研究者としての活動の発展と相互親睦をはかることは、今後日本が国際開発問題に大きく寄与していくうえでぜひとも必要であると考えられます。
 国際開発研究者協会(Society of Researchers for International Development)は、以上のような認識のもとに、1974年10月24日有志によって設立されました。


1.目的

国際開発研究者協会(以下SRIDと称する)は、国際開発問題にたずさわり、あるいは研究において情熱を傾けている者が、国内および海外において人的連携を保つことにより相互の親睦をはかり、たがいに開発研究者として創造力あふれた活動をするために、励まし、協力し、啓発しあうことを目的としています。


2.特色

日本政府及び政府機関、国際機関、民間企業、学界、NPO・NGO等で長く国際開発問題に携わってきたメンバーと、今後この分野での活躍を期待される若手のメンバーが、業種と世代を超えて意見交換を行い、ユニークなネットワークの場を提供しています。

3.活動

SRIDは以下の活動を行なっています。

(1) SRIDジャーナルの発行
毎年2回、1月と7月に電子ジャーナルを発行して、国際開発のあり方、進め方について、斬新で面白く、知的で革新的な考えとアイデイアを情報として世界に向けて発信しています。内容は学術論文集を目指したものではなく、個人の考えとアイデイアを率直に出し合って、発信することを一番大きな目的としており、論説、インサイト、提言、書評、エッセイ、途上国の写真集など、極めて多彩な読み物で充実しています。

(2) SRIDキャリア開発事業
SRID会員が有する知識・経験を外部に提供します。人材育成の場を「SRIDキャリア開発塾」と称し、以下の事業を行います。
①出張講座、②プロフェッショナル能力開発・向上研修、③キャリア開発カウンセリング、④国際協力活動を行う学生団体を含めた他団体との連携

(3) 懇談会の開催
外部専門家、及びSRID会員が国際開発に関する時宜を得た話題を提供し、勉強会を行います。終了後に講師との名刺交換を行うネットワーキング懇親会を開催します。

(4) SRIDフォーラムの開催
事前に設定されたテーマについて、パネル討論形式で会員がプレゼンと討論を行います。

(5) サロンの開催
会員や外部のゲストを招き、夕食・ワイン付きで最新トピックに関する自由討論を楽しみます。

(6) ニューズレターの発行
原則として毎月1回、会員の寄稿による評論、エッセイ、お知らせ等を掲載します。


 


会長ご挨拶



Kaoru Hayashi
林 薫


2010年代の半ば以降、世界的に一国主義の流れが強まっていく中で、国際協力を支えてきた仕組みが大きく揺らいでいます。特に2025年1月に成立した米国トランプ政権が矢継ぎ早に打ち出している高関税政策、パリ協定やWHOなどの国際的協定や機関からの離脱、さらには武力による帝国主義的侵略を容認するような態度は、第二次世界大戦後の世界の安定と平和を支えてきた政治的、経済的な仕組を根本的に掘り崩しかねません。国際協力が危機に瀕しています。

第2次大戦後の世界を支えた仕組みは、政治的には戦勝5か国をアンカーとした国連とそれを中心とした各国の外交努力です。国連が既に機能不全に陥っているという指摘もありますが、「もし国連がなかったら」というカウンターファクチュアルの想定はできないです。超大国の代理戦争としての地域戦争、内戦・民族紛争などはありましたが、主権国家間の大規模な戦争や世界戦争(第三次世界大戦)が避けられてきたことは言いうるでしょう。経済的には戦間期の反省からブレトンウッズ体制という為替、貿易、資金の各分野における安定装置がつくられました。途上国に援助や投資の形で資金が供給されるとともに、多くの国が貿易を通じて豊かになってきました。世銀によれば1990年から2020年の30年間で、1人1日2.15ドルを基準にした世界全体の貧困比率は37.9%から9%にまで減少しています。就学率・識字率、平均寿命などの指標も軒並み改善しています。この30年間は冷戦終結後、いわゆるグローバリゼーションが急速に進行した時期です。グローバリゼーションは批判にさらされていますが、マクロ的に見れば多くの人々を豊かにしてきたことは間違いないです。世界の全体の1人当たり平均GNIは約1万3000ドルです(2023世銀)。World Happiness Report(2022)によれば、このくらいを境に、これより所得が低くなると生活の満足度は低下するが、これ以上所得が増えてもそれほど満足度が上昇しないとしています。世界全体が平等になれば、人類全員がそこそこの生活を送ることができるまで、世界の生産力が到達しているのです。

しかし、個々の人間にとって豊かさの受け取り方は違います。300ドルが1万ドルになる場合と、4万ドルが1万ドルになる場合とではまったく異なります。世界経済が豊かになる中で、所得が減ってしまった人々、家族やコミュニティーなどの生活を支えてきた基盤が失われたり、危うくなったりしている人々も多いです。負担を強いられた側に回った人々がグローバリゼーションに異を唱えるようになるのは当然です。人々に寄り添って、その課題や困難に共感していくミクロの視点も極めて重要です。最近開発に携わる人々の中でも、社会学や人類学をベースに人々の生活に寄り添っていこうというNGO実践者や研究者が増えているのはきわめて重要で意義あることです。

ブレトンウッズ会議からは既に81年も絶ち、環境も与件も変わっています。ブレトンウッズ会議では、当時米国が圧倒的な経済力を持っていたことを前提にして国際通貨の仕組み(ホワイト案)がつくられました。当時米国のGDPは世界の45%を占めていました。この状況では、世界の「公共財」の供給のために米国が大きな役割を果たすこと米国自身も当然と考えていたでしょう。しかし、その後、日本、ヨーロッパ、さらには中国、新興国が台頭したため米国のシェアは現在では25%以下になっています。中国が米国のシェアに追いついてきています。米国が世界の問題のために過度な負担を強いられているという不満が示されるようになったのはトランプ政権が初めてではありません。オバマ大統領も「世界の警察官ではない」ことを明言していました。80年以上前につくられた仕組みが、そのままであっていいわけではありません。

今、トランプ政権が打ち出す政策によって世界が一国主義で覆われ、ブロック経済化し、貿易戦争、為替戦争から、軍隊による戦争になるのではないかと懸念されています。そうあってはならないですが、そのならないために新たな仕組みづくりが重要です。少なくなったとは言えまだ世界には数億人の絶対的貧困層がいます。不平等を見過ごせば社会不安が増幅します。農村や在来型製造業集積地域の衰退、コミュニティーの維持、環境・気候変動問題への対処、人々の国境を跨ぐ移動によって生ずる問題への対処、これらは一国では解決できず、国際協力が不可欠です。これらの課題は今、「開発の課題」としても認識されるようになってきています。ミクロ面で人々に寄り添いそこから人々の困難に共に向き合って共感しつつ、マクロ面では新しい環境の中で国際協力を再構築してことが喫緊の課題です。

このように考えると開発の実務者、研修者の集合であるSRIDの役割・使命がはっきりしてきます。今、世界で陰謀論のような根拠のない言説が猛威を振るっています。それを止めることができるのはそれぞれの分野の専門家によるチェック・アンド・バランスです。。SRIDはこのようなどこからも圧力を受けずにプロフェッショナルな議論と実践が行える自由なフォーラムとして活動してきました。現在の状況ではその役割・使命はますます重要になっています。

ぜひ、ご関心のある方のご加入をお待ちしております。

                   林 薫   2025年4月26日




 

SRIDの歴史
  
歴代会長    

  1974  大来 佐武郎大来 佐武郎   海外経済協力基金総裁 (元外務大臣)
  1980   宍戸 寿雄   日興リサーチセンター 理事長
  1983   三上 良悌   ㈱ユニコ・インターナショナル 社長
  1990   松本  洋   国際文化会館 専務理事
  1995   斎藤  優   中央大学 教授
  1998   浅沼 信爾   一橋大学大学院 教授
  2003   高橋 一生   国際基督教大学 教授
  2012   今井 正幸     ㈱ピーピーエス 代表取締役
  2015   藤村 建夫     ミャンマー日本・エコツーリズム会長
  2019   神田 道男     ミャンマー日本・エコツーリズム理事
  2023   湊 直信     国際通貨研究所 客員研究員
  2025   林 薫     グローバル・ラーニング・サポート・コンサルタンツ代表 元文教大学 教授


 

幹事会

代表幹事ご挨拶


Norio Matsuda
松田 教男

2025年1月、米国で第2次トランプ政権が発足しましたが、トランプ大統領は選挙公約で掲げた事項を中心に6週間で100件近くの大統領令に署名し、これらの実行に取り組んでいます。また、新政権の閣僚クラスの人事も大統領が指名した人物がほぼ承認されました。世界は、外交手段(ディール)としての関税政策、一部の国際機関(WHO、UNHRC等)や国際協定(UNFCCC)からの脱退、ロシア-ウクライナ戦争やイスラエル-パレスチナ(ハマス)戦争の解決に向けた米国の独自の動きに翻弄されている感がありますが、何故そうした行動をとるのかその背景については、政府情報やマスコミ(の偏向)報道などからはなかなか見えてきません。

USAIDの閉鎖(大幅縮小)と対外援助の抜本的見直しについても同様で、何故トランプ政権がそうした行動に出るのかについては、その背景をより正確な情報(真の背景)に基づき分析する必要があります。少なくとも米国ではUSAIDのこれまでの不透明な資金の使用、CIA等と連携した政治活動などについての実態が明らかにされてきていますが、日本ではそうした情報はほとんど報道されません。

国際開発においては、様々な問題の発生・展開に至る背景(裏事情)、プロパガンダを駆使する各勢力の目論見、例えばロシア-ウクライナ戦争の停戦を阻もうとする英国守旧派(+仏、独、米国のネオコン等)のゼレンスキー大統領を巻き込んだ不可解な動きなどにはあまり目を向けず、起こったことの悲惨さ・困難さや悪影響ばかりが強調され、そうした状況からの脱却、回復に向けた支援に注力し、支援がもたらす様々な影響(負の側面を含む)を軽視する傾向にあるように見受けられます。

こうしたことから、SRIDにおいても復興支援、制度整備支援や人材育成といったミクロな視点からのみではなく、もう少し地政経済学的な視点なども含めたマクロなアプローチで課題解決に取り組む必要があるのではないかと感じています。この点で、SRIDの会員は多分野かつ多様な知識・経験を有する人々からなっており、こうしたアプローチも充分可能だろうと考えられます。特に、直接・間接に開発の現場に携わっている会員の方々におかれては、起こっている現象だけでなく、背景的な要因も含めた問題の本質がかなりみえている、或いは何かおかしいと疑問を持っておられる方も多いのではないかと推察されます。

SRIDの活動においてはそうした多様なバックグラウンド・能力を持つ会員からのインプットが欠かせません。現役を退いたメンバーを中心に構成されている幹事会で議論ばかりしていてもあまり生産的ではありません。多忙ななかでも現役の会員がより多く参加できる、又参加しやすい活動となるようでなければ、組織そのものが持続可能ではないと考えます。また、少しでも世の中の役に立つような活動にならなければいけないと考えますので、会員の方々からの積極的なご意見や情報(インテリジェンス)の提供を期待しています。

なお、SRIDでは2023年度以降、新たな活動として「勉強会」を発足させました。議案1の「2024年度の活動報告」でも報告しましたとおり、一定の意義ある成果が得られ、「会員間の交流」促進や「対外的発信」にもある程度の貢献を果たしつつあると感じています。2025年度はこうした活動を常に見直しつつ進化させるとともに、更なる有意義な活動も模索できるように努力したいと思いますので、より多くの会員の皆様の積極的な参加と協力を期待しています。

            松田教男   2025年4月26日




  幹事会メンバーと役割分担(2025年度)

  会長      林 薫   
  代表幹事      松田教男   
  【総務】      山下道子   
  【広報】  ホームページ

 フェイスブック
  山岡和純  玉置佳一

  松田教男
  【活動】  ジャーナル編集

 ニューズレター

 懇談会

 フォーラム

 キャリア開発事業

 サロン

 勉強会
  山岡和純ほか 編集委員6名

  林 薫   山岡和純  山下道子

  小林文彦  高千穂安長 林 薫

  神田道男  松田教男  玉置佳一

  鈴木博明ほか 運営委員6名

  岩波美智子 山下道子

  松田教男  山下道子
  【会計監査】      小林 一   
  【事務局】      山下道子   
  

過去の役員構成
  2002-24年度


 



   SRIDの会則



 


入会ご案内 ☚ クリックすると入会ご案内のFlyerをご覧いただけます

国際開発問題ご関心のある方は、誰でも入会を申請することができます。 入会申請フォーム に必要事項を入力し送信してください。(申込書の受信を確認次第、確認のメールを返信いたします。申込書の送信後48時間以内に返信がない場合は、下記事務局にお問い合わせください。)

幹事会で入会が承認されれば、年会費3,000円をお支払いいただき、正会員になることができます。学生の方は年会費2,000円(院生)、または1,000円(学部生)をお支払いいただき、学生会員として入会することができます。なお10月1日以降に入会される場合は、年会費の半額のお支払いをお願いいたします。

入会後は会員間のグループメールにアドレスが登録され、SRIDホームページの会員専用サイトへのアクセスが可能になります。グループ・メールでは総会・幹事会・懇談会・フォーラム・サロン・勉強会などの開催案内、SRIDジャーナル・ニューズレター「キャリア開発」・SRIDニューズレターの発行案内、関連団体のイベント案内、会員ニュースなどが配信されます。

現在の主たる活動は、年次総会、年に4回程度公開で開催される懇談会(会員または有識者による講演会)、フォーラム(会員によるパネル討論会)、サロン(会員による趣味や仕事の発表会)、ジャーナル(外部に向けて年に2回発信)、ニューズレター(会員向けに年に8回程度発行)、勉強会(会員と外部専門家による研究会)、国際社会で活躍できる若手の育成と支援を目的とするキャリア開発事業などです。詳しくはホームページの各活動をご覧ください。


問合せ先 (事務局):山下道子 Email: sridjimu@gmail.com
事務局宛Email


 
ML>