SRID  Journal




SRIDジャーナルとは


「SRIDジャーナル」は、国際開発のあり方、進め方について、斬新で面白く、知的で革新的な考えとアイディアをブログのような形で、世界に向けて発信していこうとするものです。学術論文集を目指したものではなく、SRID会員と友人達のアイディアを広く提供することが一番大きな目的です。内容は論説、提言、書評、エッセイ、フォーラム、等々何でもありです。日本と世界の識者の間で共有していただければ望外の喜びです。この趣旨に共感される読者からの投稿も歓迎いたします。年に2回という限られた発行ではありますが、人々の心に共感と明日への希望を与えられるように、努力して行きたいと思います。


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途上国アルバム(清水由賀:ミャンマー)

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巻頭エッセイ

グローバル・サブシディアリティー

中所得国の罠を克服するための統合的アプローチ

Global Subsidiarity, An Integrated Approach to Overcoming the Middle-Income Trap:

A New Attempt in the Age Characterized by Division and National Egocentrism in the World

高橋一生

SRID会員

TAKAHASHI, Kazuo (Ph.D. in International Relations, Columbia University)

Member of SRID


Abstract

While theoretically there are three possible approaches to overcoming traps of middle-income countries (economic, economic and social welfare, and integration of economic, social and political dimensions), we do not have any other real option than an integrated one in the world which is increasingly characterized by division and national egocentrism. In particular, an emphasis on democracy in this attempt is an essential requirement in view of the challenges of developmental authoritarianism such as the one pursued by China. One plausible approach is to strengthen people’s participation in a political process at the community level with an international dimension in mind through such a concept as subsidiarity which has been put in place in the practice of the European Community. Applying this concept on a global scale holds significant potential. This think-piece tries to initiate a discussion on advancing this integrated approach.


要約

理論上、中所得国が直面する罠を克服するためのアプローチには、経済的アプローチ、経済と社会福祉を組み合わせたアプローチ、そして経済・社会・政治の次元を統合したアプローチの3つが考えられる。しかし、分断と国益優先主義がますます顕著になる国際情勢の中では、統合的アプローチこそが唯一の現実的な選択肢として浮上する。この戦略の核心には民主主義の強化があり、それは中国に代表される開発独裁主義がもたらす課題に対処するうえで不可欠である。その有望な道筋の一つとして、地域レベルでの政治プロセスへの人々の参加を促進し、欧州共同体における補完性の原則に見られるような国際的視点を取り入れることが挙げられる。この概念をグローバル規模で適用することには大きな可能性が秘められている。本稿は、この統合的アプローチを推進するための議論を喚起する第一歩を目指すものである。


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